洗脳学級
☆☆☆

翌日。


A組の教室内はいつも通りだった。


2人も死んでしまったというのに、あちこちから笑い声が聞こえて来る。


クラスメートたちは一様にスマホを持ち、ウサギに向かって質問を繰り返している。


「じゃあ、消すよ?」


休憩時間中、あたしはスマホを机の上に出して佑里香へ言った。


佑里香もスマホを準備している。


「うん」


頷く佑里香。


アプリを1つ消すだけなのに、どうしてかあたしの心臓は早鐘を打ち始めていた。


嫌な汗が背中を流れていき、喉がカラカラに乾いて行くのを感じる。


それは佑里香も同じみたいで、さっきから顔色が悪く、呼吸が荒い。


「2人とも、大丈夫?」


そんなあたしたちを心配しているのは美世だった。


「うん……でも、なんだか気分が悪い」


あたしはそう返事をした。


今にも朝ご飯が胃からせり上がってきそうだった。
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