洗脳学級
☆☆☆

自室に戻って来たあたしはつけまつ毛を取り出していた。


以前メーク道具を買った時に、一応購入しておいたのだ。


「偽物だから、すぐに取れちゃうよね……」


つけまつ毛をケースから取り出して、ポツリと呟いた。


せっかくまつ毛が長くなっても、それは一瞬の出来事だ。


まつ毛が撮れたら、昌一はあたしを見てくれなくなるかもしれない。


あたしは隣に置いているスマホを見つめた。


お役立ちアプリは起動された状態になっている。


「どうやったら簡単にまつ毛が長くなる?」


《ボクが解決してあげる! つけまつ毛を、本物の接着剤でつけちゃえばいいんだよ!》


あぁ、そっかぁ。


つけまつ毛用の接着剤でつけるから取れちゃうんだもんね。


あたしは立ち上がり、フラフラと机へ向かった。


確か文房具の中に接着剤もあったはずだ。


前に、定規が割れた時に使った記憶があった。


「ほら、あった」


あたしは小さな接着剤を手に取り、ほほ笑んだ。
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