洗脳学級
広まる
翌日、学校は昨日のニュースのことで持ち切りだった。


最寄り駅での火災だったため、その様子を見た生徒たちも多くいるらしい。


それでも、生徒の中で怪我人が1人もいないのは幸いだった。


「なぁ、ちょっといいか?」


美世と佑里香と3人で話をしている時、間に割って入るようにそう声をかけてきたのはサッカー部の卓治だった。


「あれ? 練習は?」


サッカー部はまだ朝練をしている時間帯のはずだ。


けれど卓治はすでに制服に着替えている。


「今日は少し早く終わらせてきたんだ。話が聞きたくて」


そう言われてあたしは瞬きを繰り返した。


「話って、あたしと?」


そう聞くと、卓治は真剣な表情で頷いた。


一瞬告白という二文字が浮かんできたけれど、すぐに頭から打ち消した。


卓治と成仁の2人はサッカー命で、彼女に使う時間なんてないと言っていた。


それは今でも変わらなさそうだ。


だとしたら、あたしになんの用事なんだろう?

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