洗脳学級
そう言い、美世と佑里香へ視線を向ける。


誰も写真や動画を撮っていなかった。


「もしかして撮ってないの? そういうのって撮影してSNSに乗せれば一躍有名になれるのに」


沙月は残念そうにそう言った。


そう言われればそうかもしれないけれど、あの時は写真や動画を撮影する暇なんてないと思った。


とにかく逃げないといけないって。


「ちょっと待ってね」


沙月はそう言うとスマホをイジリはじめた。


なにかを打ち込んだ後、画面をあたしたしへ向ける。


そこには昨日の火災現場の様子を映した写真や動画が、ズラリと並んでいたのだ。


中には爆発した瞬間の動画まで投稿されている。


「こんなの撮るんだ……」


唖然として画面を見つめていると沙月はクスッと笑った。


「こんなの普通じゃん」


確かに、世の中には沢山の写真や動画が溢れている。
< 34 / 248 >

この作品をシェア

pagetop