洗脳学級
でも本人はそれを気にしていて、もう少し太りたいと言っていたことがある。


「全然よくないよ。胸もお尻もペッタンコなんだから」


「それ、スレンダーって言うんだよ。佑里香が着ると服も映えるじゃん」


あたしはそう言ってほほ笑んだ。


凹凸が少ない分、着物だって似合うだろう。


「そうかなぁ?」


それでも自信なさそうに首を傾げる佑里香。


その瞬間だった。


ファミレスの奥の席に座っていた2人の女性が悲鳴を上げて逃げ出したのだ。


一瞬、なにが起こっているのか理解できなかった。


反応に遅れた一秒後、彼女たちが座っていた場所に一台の車が突っ込んで来たのだ。


ガラスは割れ、椅子とテーブルをなぎ倒し、ファミレスの中央付近まで来て車はようやく停車した。


耳をつんざくような騒音と白っぽい埃で、聴覚も視界も奪われた。
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