洗脳学級
「きゃあぁ!」


誰かの悲鳴でハッと我に返り、席を立っていた。


車はすでに止まっているが3人で店の入口へと走る。


早く逃げないと!


そう思った瞬間、沙月の言葉を思い出していた。


事故や事件の動画撮影をして投稿すれば有名になれる。


あたしの足は自然と遅くなり、振り向いて周囲の様子を確認していた。


逃げる人もいればその場に残ってスマホを取り出す人もいる。


「待って」


あたしは前を走る2人へ向けてそう声をかけて来た。


美世が驚いた表情でこちらを振り向く。


「撮影しなきゃ」


あたしはそう言いポケットからスマホを取り出した。


こんな機会、もう二度とこないだろう。


それなら1度くらい撮影しても罰は当たらないはずだ。
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