洗脳学級
それから昨日の出来事について話をしていると、想が教室へと入って来た。


いつもはもっと遅い時間に登校してきているから珍しい。


すると想は真っ直ぐにあたしへ向かって歩いて来たのだ。


もしかして想も昨日のニュース番組を見たんだろうか?


「あのさ、俺にも教えてほしいんだけど」


なんの前置きもなくそう言って来た想に、あたしは瞬きをした。


「教えてほしいって、なにを?」


「アプリに決まってんだろ!」


途端に声を荒げる想に、あたしはビクリとして目を見開いた。


周りにいた子たちも驚いて想から身を離している。


「あ、カノンたちが使ってるアプリのこと?」


「それしかないだろ。あれを使い始めてからあいつら……」


そこまで言って言葉を切り、親指を爪をガリッと噛んだ。


相当ストレスや怨みが貯まっていそうだ。


さっきだって突然怒鳴って来たし、大人しい想がキレるとどうなるかわからない。


「もちろん、教えるよ」


あたしはそう言い、自分のスマホを取り出したのだった。
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