洗脳学級
なにも知らないあたしたちからすればイジメから逃れる方法があったんじゃないかと考えてしまうが、本人からすればそんな道はすでに経たれている場合もある。


「深刻な顔して、なんの話してんだよ」


そんな声が聞こえてきて顔を向けると、井坂昌一（ｲｻｶ　ﾏｻｶｽﾞ）が登校してきたところだった。


昌一とあたしは小学校時時代からの友達で、もう腐れ縁みたいなものだった。


「今日のニュースの話。って言っても、昌一は見てないんだろうけど」


昔から昌一は登校ギリギリまで寝えいるタイプで、今でもそれは変わらない。


「おぉ。寝てた」


そう言って白い歯を覗かせて笑っている。


呑気でいいなぁ。


「あ、サッカー部の２人が朝練から戻って来たよ」


佑里香がそう言い、自分の席へと戻っていく。


それとほぼ同時にホームルーム開始を知らせるチャイムが鳴ったのだった。
< 6 / 248 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop