洗脳学級
あたしは画面を見つめてチッと軽く舌打ちをした。


こんなヤツに書き込まれるなんてついてない。


そう思いながら、お役立ちアプリを起動した。


いつでもどこでも、あたしにはウサギがついている。


このウサギがいれば、アンチ野郎だって撃退できるはずだ。


「アンチコメントを書かれた時はどうすればいい?」


《ボクが解決してあげる! 田中正文39歳独身、無職、引きこもり。住所と電話番号は…》


ウサギがよどみなく田中正文という人間のプロフィールを上げて行く。


「待ってそれって誰?」


《アンチコメントを書いた人間だよ!》


ウサギは飛び跳ねながらそう答えた。


アンチコメントを書いた人間……?


「さすがに嘘でしょ? そんな簡単に個人を特定なんてできるわけないし」


SNS上のプロフェール欄には名前や住所など載せていなかった。


いくらウサギが優秀でもこんな短時間で個人を特定できるとは思わなかった。


それとも……。
< 74 / 248 >

この作品をシェア

pagetop