洗脳学級
☆☆☆

学校へ到着すると、廊下を松葉づえをついて歩く男子生徒がいた。


右足に包帯が巻かれていて痛々しい。


あれは誰だっけ?


その後ろ姿に見覚えがあると思っていると男子生徒はA組へと入って行った。


あたしも慌ててその後を追い掛ける。


「どうしたの成仁?」


クラスメートの1人が驚いた声を上げている。


松葉づえをついている生徒はサッカー部の成仁だったみたいだ。


この時間はいつも朝練をしていて校内にいないから、後ろ姿だけじゃ判断できなかった。


「練習中に怪我しちゃってさ」


成仁は軽い感じで返事をしているが、その顔は青ざめている。


「マジか、もうすぐ大会じゃなかったっけ?」


成仁と仲のいい男子生徒が近づいて行き、そう聞いた。


「うん……」


成仁はそう言い、うつむいてしまった。


どのくらいの怪我なのかわからないけれど、大会に影響がでるのかもしれない。


こんな時期に怪我をするなんて、相当悔しいだろう。
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