洗脳学級
教室後方で行われる想イジリはいつものことで、気にしている生徒は誰もいなかった。


でも、今朝のニュースを思い出すとちょっとだけ気になってしまう。


想がいつ爆発を起こして2人を殺してしまうか……って、さすがにそんなことにはならないか。


想と浩哉じゃ体格差も有り過ぎるから、想に勝ち目はない。


黒板の前ではサッカー部の内林卓治(ウチバヤシ タクジ)と沢柳成仁(サワヤナギ ナルヒト)の2人が試合についての話を熱心にしている。


いつもの教室風景だった。


「ねぇ、今日の小テストってさぁ」


数学の教科書を手にした美世がそう言いながらあたしに近づいて来た。


「え?」


キョトンとして美世を見つめる。


「テストだよテスト。昨日先生が言ってたじゃん」


「そうだっけ?」


首を傾げつつ黒板の横に貼ってある時間割を確認する。


今日の数学の授業は1時間目になっている。


「待って、あたし全然勉強してない」


そう言い、慌てて教科書を取り出した。
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