洗脳学級
「冗談だよ。そんなこと気にしてない」


そう言っておかしそうに笑う卓治。


あたしはキョトンとしてそんな卓治を見つめた。


「あいつが怪我をしたのは、これのおかげだ」


もう1度声を小さくて、卓治はスマホを取り出して見せて来た。


画面にはウサギが写っている。


「え?」


あたしは首を傾げて卓治を見た。


「こいつが助言してくれたんだよ。練習後に成仁を外へ連れ出せって。そうすれば俺が次の大会に出場できるって言って来たんだ」


「なにそれ、どういう意味?」


美世も首をかしげている。


成仁を外へ連れ出しただけで卓治が次の大会へ出られるなんて、意味がわからなかった。


「とにかく、俺はこいつが言う通り成仁を外へ連れ出したんだ。ファミレスへ行こうって誘ってさ。そしたら、前から走って来た自転車が成仁に突っ込んできたんだ」
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