洗脳学級
そう言って口元を緩める卓治。


「嘘……」


「本当だ。自転車を運転してたヤツはスマホをつついて、しかもイヤホンを付けてた。目の前に歩行者がいることにも気が付ずに、スピードも緩めてなかった」


卓治は早口にそう説明して、成仁へ視線を向けた。


成仁はクラスメートといつも通り会話をしているけれど、その表情はやっぱり暗かった。


「そんなのダメだよ」


そう言ったのは佑里香だった。


佑里香は卓治の話を聞いている間にだんだん顔色が悪くなってきていた。


「そんな使い方したら、ダメ」


「そう言われても、俺だってこんなことになるなんて知らなかった」


卓治はそう言って仏頂面を浮かべた。


「アプリには、なんて質問をしたの」


美世が卓治へそう聞いた。


「次の大会に出る方法は? そう聞いたんだ」


その結果、こんなことになってしまったようだ。
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