洗脳学級
佑里香にとって年の離れた弟は本当に可愛くて仕方ないみたいだ。


「実はね。『明日もお姉ちゃんのご飯が食べたい』って言ってくれてるの。だから、今日は何を作ろうかなって悩んでて、それで……」


「アプリを使ってみたの?」


美世が佑里香へそう聞いた。


「うん。今日はオムライスにしたらいいって言われた」


そう言い、嬉しそうにほほ笑む佑里香。


弟の笑顔のために頑張る事が嬉しいのかもしれない。


ふと教室内を見回してみると、あちこちでスマホを取り出している生徒がいる。


みんなスマホへ向けて他愛のない質問を繰り返し、その返事がもらえるのを待っているようにも見えた。


「あっという間にアプリが浸透しちゃったね」


あたしはそう呟く。


最初は、このアプリが広まると全員がテストで満点を取ってしまうと懸念していたけれど、悩みは1つじゃないと分かって来た。


アプリの使い方は人それぞれだから、それほど心配する必要はなさそうだ。
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