洗脳学級
そう考えたとき、不意にお役立ちアプリの存在が蘇って来た。


困ったときは何でも聞けばいい。


でも、牛乳を買うくらいのことで相談する必要ある?


コンビニでもスーパーでも、どっちでもいい。


牛乳の取扱いは違うかもしれないけれど、お母さんはメーカーの指示まではしてこなかった。


なんでもいいのだろう。


頭では理解しているのに、あたしの指は自然とアプリを起動していた。


質問をする必要なんてないとわかっているのに、アプリに頼りたいという気持ちが湧き上がって来る。


画面上にウサギが現れると心が落ち着く感じがする。


「どこで牛乳を買えばいいと思う?」


《ボクが解決してあげる! ○×マートがいいよ!》


それはここから3キロほど離れた場所にあるデパートの名前だった。


そこへ行くには家を通り過ぎてしまわないといけない。


「どうしてわざわざそんなに遠くへ行くの?」


そう質問してみても、ウサギは飛び跳ねるばかりで返事をしてくれない。
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