洗脳学級
☆☆☆

教室へ入ると、真っ先に昌一と沙月の2人を探していた。


昌一はもう登校して来ていて、窓際の席で友達と会話している。


その姿を見ると、一瞬にして昨日の出来事を思い出し、また胸が痛んだ。


「おはよう昌一」


できるだけ自然にそう声をかけた。


「おはよう」


いつものように笑顔を向けてくれるので、安心して昌一へ近づいて行く。


その時だった。


「お前、昨日沙月ちゃんと2人で歩いてただろ!」


昌一と会話をしていた1人がそう言ったのだ。


あたしは昌一に近づく手前で立ちどまってしまった。


やっぱり、あれは夢でもなんでもなく現実だったんだ。


わかっていたことなのに、涙が出そうになった。
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