ストーリー
☆☆☆

咲紀の日記を燃やしてしまったあたしは、また創作活動に専念していた。


咲紀の日記を元にしているから進みが遅かったけれど、それも今では気にならないくらいになっていた。


「もうすぐ書き上げか?」


部室内で修人がそう声をかけて来たので「うん」と、頷いた。


咲紀の日記に惑わされることなく、ちゃんと自分の文章を書けていると感じられた。


「最近調子よさそうだな」


そう言ってため息を吐き出した修人に、あたしは顔をあげた。


あまり顔色がよくないようだ。


「俺、ちっとも進まなくなった……」


そう言って机の上に置いてある原稿用紙を見つめている。


その原稿用紙は見事に真っ白だ。


「仕方ないよ。色々あったんだから」


「お前だって同じだろ」


「あたしは、呪縛から解放されたからいいの」
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