ストーリー
咲紀の日記をこの世から消した時、あたしの心は確かに解放されたのだ。


単純だけど、絶大な効果があった。


これこそプラシーボ効果だった。


「女って強ぇな……」


修人が呆れたようにそう言った時、あたしのスマホが震えた。


確認すると健太郎からメッセージが届いている。


《健太郎:門のところで待ってるよ》


その文面にあたしはそそくさと帰る準備を始めた。


もうすぐで作品は完成するけれど、家に持って帰って続きを書くつもりだった。


「なんだよ、もう帰るのか?」


黙って作品を書いていた和人がそう声をかけて来たので「今日はデートなの」と、返事をして教室を出たのだった。
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