ストーリー
☆☆☆

そのデパートはあたしたちが産れる前から建っている、古いものだった。


内装もどこか古臭い色合いで、エスカレーターに乗るとギシギシと嫌な音を立てた。


店内にいるお客さんも年配の人が多くて、あたしたちはあまり見る物もなさそうだ。


エスカレーターで屋上までやって来たあたしたちは、ガラス張りのドアを開けて外へ出た。


店内にはそんなにお客さんがいる様子じゃなかったけれど、屋上遊園地には沢山の子供たちがいた。


動物の形をした乗り物に乗っていたり、着ぐるみが風船を配っていたりする。


その一番奥に、観覧車はあった。


「すごーい。結構賑やかだね」


観覧車に近づきながらあたしは言った。


「本当だな。こういう場所ってあまり来ないけど、今でも人気なんだな」


健太郎も物珍しそうに辺りを見回している。
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