ストーリー
観覧車の前まで来ると、それはすごく寂れていることがわかった。


回ってはいるが、風が吹くだけでゴンドラが左右に揺れている。


「これ、大丈夫かな……」


思わずそう呟いた。


観覧車が途中で止まったり、落下したりするとシャレにならない。


「さすがに点検くらいしてるだろうから、大丈夫だろ」


そう言い、健太郎は躊躇することなく観覧車に乗り込んでいく。


料金はどこで支払うのだろう?


料金を支払うような場所もないし、観覧車の近くに係員の姿もなかった。


「どうしたんだよ愛菜。早くおいで」


健太郎に手招きをされ、疑問を感じながらあたしは観覧車へ近づいたのだった。
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