ストーリー
こんな時間に、青ざめた顔で部屋に入ってこられたら、嫌でもなにかあったのだと気が付いてしまう。


あたしはベッドから下りた。


「今、学校から連絡網が回って来たの」


「連絡網?」


そう聞き返しながら、あたしはスマホを手に取った。


連絡網のほとんどは家の電話ではなく、クラスメッセージで送られてくるようになっている。


しかし、確認してみてもなんの通知も来ていなかった。


「2年生の久林咲紀ちゃんって知ってる?」


そう聞かれてあたしはピクリと反応した。


昨日の放課後、階段から突き落としたときの感触を思い出す。


「知ってる。文芸部で一緒だから」


あたしはそう答えながら母親から視線を外した。
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