ストーリー
あたしは驚いて健太郎へ視線を向ける。


その瞬間、明日香と視線がぶつかった。


「ひぃ!!!」


悲鳴を上げて咄嗟に手をひっこめようとする。


しかし、明日香はあたしの手をつよく握りしめて離さない。


ブヨブヨとした肉の塊が、あたしの手に絡み付いてくる感覚がした。


「やめて! 離してよ!!」


明日香はニタリとした笑みを浮かべてあたしを見つめる。


「どうしたの愛菜? 咲紀の才能が羨ましいの?」


「そんなことない! 咲紀の才能なんてどうでもいい!」


「本当に? それならどうして、咲紀をイジメるの?」


「うるさい!! 黙れ!!」


明日香は声を上げて笑い始めた。


脳内に響き渡るような、不快な声だ。
< 110 / 195 >

この作品をシェア

pagetop