ストーリー
観覧車はまだ止まらないの!?


そう思い、窓の外を確認した。


ゴンドラはまだ真上にいる。


「なんで……」


屋上観覧車はそんなに大きなものじゃない。


さっきから時間も経っているのに、まだ真上にいるなんてどう考えても妙だった。


「お願い……早く下ろして!!」


あたしの手はまだ明日香に握りしめられたままだ。


このままあの世へと連れ去られてしまうのではないかと、恐怖心が湧き上がって来た。


「ダメだよ愛菜。1人だけ幸せになるなんて、そんなの許さない」


明日香が立ち上がり、一歩あたしに近づいた。


狭いゴンドラの中、それだけで距離はほぼゼロになる。
< 111 / 195 >

この作品をシェア

pagetop