ストーリー
明日香の穴という穴からこぼれ落ちる水は生臭く、腐敗臭を放っている。


「あ、あんたが悪いんでしょ! 健太郎と帰ったりするから!」


「違うって言ったのに、信じなかった」


「それは……っ!!」


明日香の話をしっかり聞こうとしなかったのは事実だ。


それが原因で殺してしまったことも認める。


だから……!


「ごめんなさい! 許して!!」


そう叫んだ時、明日香の手があたしから離れた。


あんなに膨らんだ手で握りしめられていたのに、あたしの手は指の形が赤く、クッキリと残っている。


荒い呼吸を繰り返して健太郎へ視線を向けた時、その顔は再び明日香に変わり、両手があたしの首に絡みついた。
< 112 / 195 >

この作品をシェア

pagetop