ストーリー
咲紀の日記はあの日、あたしがこの手で燃やしたはずだ。


完全に灰になるのを見届けて、踏みつけてバラバラにしたはずだ!!


それでも、目の前にあるノートは間違いようもなく咲紀の日記なのだ。


あたしは咄嗟に立ち上がり、周辺を見回した。


あたしがここへ来たときと同様に、人の姿は見えない。


でも、どこかに隠れている誰かが、あたしを驚かせるためにこんなことをしているかもしれない。


「誰かいるの!?」


そう声を上げてみても、どこからも返事はなかった。


周囲には静けさが立ち込めて、鳥の一匹も見当たらない。


あたしは大きく深呼吸を繰り返してそっと日記を手に取った。


ノートを使っているついた癖などが一緒であると、触った瞬間気がついた。


背中から嫌な汗が流れ出し、次第に呼吸が荒くなっていく。
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