ストーリー
「咲紀なんてどこにもいない。愛菜は日記を掴んだまま溺れてたんだ」


修人にそう説明されて、あたしはホッと胸をなで下ろした。


あれが夢だなんて思えないけれど、とにかく日記は見つかったのだ。


これでなにか前進できるかもしれない。


「日記にはなんて書いてあるの?」


あたしは重たい体を起こして修人へそう気いた。


「俺と和人の2人は部室でタバコを吸って火事を起こして、死ぬって」


その言葉にあたしは和人を見た。


「和人ってタバコ吸うの?」


「少しだけ」


「文芸部の部室は紙が多くて乾燥もしてるから、灰が落ちたらそのまま火が上がるんだろうな」


修人はそう言いながら、ズボンのポケットからタバコとライターを取り出した。


どちらも濡れていて、もう使い物になりそうにない。


それでも、それを川へと投げ捨てた。


和人も同じように、持っていたタバコとライターを投げ捨てる。
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