ストーリー
和人の言葉にあたしの頭は混乱して行く。


「罪を修人に擦り付けるの?」


「そうだ。愛菜は修人から『健太郎と別れろ』と、脅されていたことにすればいい。愛菜は怯えて健太郎に別れを切り出した。けれど健太郎は聞き入れてくれなくて、突発的に殺してしまった」


少し無理がある説明だけれど、あたしは和人の言葉を黙って聞いた。


「修人が咲紀をイジメたり、明日香に暴行をしている所をあたしは見た。だから、命令をきくことしかできなかった。それでいい?」


そう聞くと、和人は口元に笑みを浮かべて頷いた。


「その通りだ。さすが、文芸部の部長だけあって物語を読みこむのが早いな」


そう言われって、あたしも少しだけほほ笑んだ。


現実に起こった出来事でも、どんなふうに線を繋げていくかで物語は大きく変化する。
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