ストーリー
☆☆☆

和人に自由に動けるようになったことを伝えると、自分のことのように喜んでくれた。


周囲はあたしのことを腫れ物のように扱うけれど、和人だけは違う。


家の近くのファミレスで待ち合わせをして久しぶりに和人に会うと、少し痩せているのがわかった。


あたしと同じで、深く帽子を被っている。


「久しぶりだね……」


人目を気にしながら、和人の前の席に座ってそう声をかけた。


「あぁ。愛菜はちょっと痩せた?」


「和人も痩せたよ」


そう言いあって小さな声で笑う。


どこにいても、なにをしていても、誰かに見られているような気がしてならない。


「今は何してるの?」


あたしはオレンジジュースをひと口飲んでそう聞いた。
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