ストーリー
「また鍵を使うの?」


そう聞くと、和人は頷いてズボンのポケットから1つの鍵を取り出した。


「持って来たの?」


驚いてそう聞く。


「やるなら早い方がいい。こんな事件が起こって、親父の会社ももうダメになりそうなんだ」


この機会を逃したら、もう咲紀の家に入る事はできないだろう。


イジメのことまで発覚した今、あたしたちは門前払いされるのは目に見えていた。


それに、セキュリティー会社の息子が絡んでいたと知れば、契約を解除されて鍵は手に入らなくなってしまうのだ。


「どうする? 行くか?」


和人にそう聞かれて、あたしはゴクリと唾を飲み込んだ。


正直心の準備は全然できていなかった。


それでも、今日やるしかなさそうだった。
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