ストーリー
「ブログも似たような感じだ。死ね。殺す。の連投を毎日してる」


和人の言葉にあたしは息を吐きだした。


死ね。殺す。


それが誰に向けられている言葉なのか、聞かなくても理解できた。


これは文芸部の全員へ当てた怨みだ。


あの日記程度で終わるような苦しみではなかった。という意味なのだろう。


「ブログやSNSを削除できないの?」


「わからない。でも、後で削除要請を出してみよう。そうすれば咲紀の呪いの効力は弱まるかもしれない」


早口にそう言い和人はパソコンの電源を落とした。


咲紀のアカウントがわかっただけでも、今日の進歩だ。


あたしは積み重ねられている言霊の本たちを見つけて、そう感じたのだった。
☆☆☆

入ってきた時と同じように堂々と咲紀の家を出て、少し離れた公園に来ていた。


ベンチに座って冷たい缶ジュースをひと口飲むと、ようやく気持ちが落ち着いた。


和人はあたしの隣に座り、スマホをイジっている。


「見つけた」


そう言って画面を見せて来る。


そこには、つい先ほど見た咲紀のブログが表示されていた。


「今、ホームページの管理者に削除要請を出したから、今日中には消してもらえるはずだ。後は……」


和人はそこまで言い、震え始めたスマホを見つめた。


「電話?」


そう聞いて画面を覗き見ると、それは和人の家からの着信だった。


なぜか和人は青ざめた顔をして、電話に出ようとしない。


「出ないの?」
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