ストーリー
「わかった。それじゃ」


たった2分ほどの通話時間が、永遠のように長く感じられた。


「どうだった?」


和人が電話を切ると同時に、あたしはそう聞いて来た。


緊張で背中に汗が流れていた。



「修人が死んだ」


「え?」


それは全く予想外の言葉で、あたしはポカンと口を開いて和人を見つめた。


「少年院で火事があったらしいんだ。修人1人だけ逃げ遅れて巻き込まれた」


「ちょっと待って、修人が死んだって本当に?」


「あぁ」


和人は短く返事をして、俯いた。


「嘘……」


しかも、火事が原因だ。
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