ストーリー
☆☆☆

それから数日後、あたしは裕子おばちゃんにレジ打ちを教えてもらっていた。


小さな店内のわりに、やらなきゃいけないことが多くてあたしの頭はパンク寸前だった。


でも、これくらい忙しい方が丁度よかった。


人の目や、咲紀や明日香の事を忘れることができる。


ボンヤリしていたらミスをしてしまうから、バイトをしている間は気を張り、その分嫌な事を忘れることができた。


「じゃあ、次のお客さんの時にレジを1人でやってみようか」


「はい」


あたしは頷き、大きく深呼吸をした。


学校とは全然違う緊張感だ。


背筋を伸ばしてお客さんが来るのを待つ。


今は昼の2時くらいだから、お客さんの動きも穏やかだった。


店内には2人の女性客がいて、1人は雑誌を読み1人は飲料のコーナー辺りを見ている。
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