ストーリー
飲料を選んだ体の大きな女性が、真っ直ぐにこちらへ歩いてくるのが見えた。


あたしは笑顔を浮かべてそれを待つ。


「これ、お願い」


女性はジロリとあたしを顔を一瞥し、冷たい声でそう言った。


緊張しているあたしは、それだけで全身に汗をかいてしまう。


「こんにちは、いらっしゃいませ」


マニュアル通りお辞儀をして、バーコードをスキャンしていく。


「120円が1点。220円が1点」


ピッピッと小気味いい音が響き、隣では裕子おばちゃんが袋詰めをしてくれている。


順調だった。


それなのに、レジ台の向こうにいるお客さんの顔は徐々に険しくなっていくのがわかった。


ちょっと時間をかけ過ぎだろうか?


そう思い、ペースを上げる。


「ちょっとあんた。犯罪者じゃないの?」


その言葉に、あたしは持っていた商品をレジ台に落としてしまった。


唖然として女性を見つめる。
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