ストーリー
咄嗟に手鏡を払いのけようとしたけれど、体を上手く動かくことができず跳ねるような形になってしまった。


あたしの体、全身が包帯だらけなのかもしれない。


「心配しなくても大丈夫。愛菜には最上級の手当てがされるからね」


和人はそう言い、再びあたしに咲紀の日記を見せて来た。


『愛菜の体は元通りになる』


その一文にホッとしたのもつかの間、咲紀の日記を和人がずっと使っていたのではないかと、疑問を感じた。


言霊の呪いがかけられた日記と和人。


和人はあたしのことが好き……。


不意に、背中に寒気が走った。


さっきからどうして他の人が病室に入ってこないんだろう?


どうしてここには和人しかいないんだろう?


次々と疑問がうかんでくる。


「おっと」


和人がノートを取り落としそうになった瞬間、あるページの文章が目に入った。
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