ストーリー
「これほどの事故で死ななかったってことはさ、こういうことをしても、死なないんだよ?」


和人はそう言い、鞄の中からカッターナイフを取り出してあたしへ見せた。


あたしは必死に左右に首をふって止めさせるが、やはり動くことはできなかった。


「ほら、見て」


和人は口元に笑みを浮かべたまま、自分の野地にカッターナイフを押し当てた。


そのまま、ジリジリとじらすように横へ引く。


真っ赤な血があふれ出し、白いシーツを染めて行く。


切れたカ所からは白い肉が見え、その傷は骨まで到達していることがわかった。


それでも和人は笑っている。


「ほら見て愛菜。俺は死なない」


切られた喉から空気が漏れる音が聞こえて来た。


「愛奈も、これから先ずーっと生き続けるんだ。俺と一緒に何百年も何千年も、ずーっとね……」


恍惚とした表情でそう言う和人。
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