ストーリー
熱中して小説を書いていると、大きなノック音が部室に響いた。


今日は部活が休みの日だから思う存分書けると思っていたところに、来客だ。


あたしはすぐに咲紀の日記を鞄の中に隠し、原稿用紙を裏にした。


「はい」


「愛奈! 大変!」


返事をすると同時に部屋に入って来たのは明日香だった。


よほど焦ってここまで走って来たのか、額に汗をかいている。


「どうしたの?」


こんなに焦っている明日香を見たのは初めてかもしれない。


あたしは席を立って明日香に近づいた。


「今、美春と一緒に電車を待ってたんだけど……」


荒い呼吸を繰り返しながら明日香は言う。


「美春が線路に落ちて、電車に撥ねられた」


「え……?」
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