ストーリー
あたしは目を見開いて明日香を見つめた。


明日香は青ざめて、小刻みに震えている。


嘘をついているようには見えない。


「線路に落ちたって、どうして?」


あたしは明日香を椅子に座らせてそう聞いた。


「わからない。誰かに背中を押されたようにも見えたけど、あたしたちの周りには誰もいなかったし……」


一瞬にして、咲紀の日記の内容を思い出していた。


《美春は電車に撥ねられて死んでしまう》


あたしは強く左右に首を振って、その内容を頭からかき消した。


あんなの、ただの偶然に決まっている。


咲紀が勝手に書いただけだ。
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