ストーリー
「電車に轢かれたってことはつまり……」


そこまで言い、あたしは明日香を見た。


明日香は大きく息を吐きだして両手で顔を覆った。


「電車はスピードを落としてたけど、でも……」


あんな大きなものに撥ねられて助かるハズがない。


「明日香はそれを見たの?」


そう聞くと、明日香は何度も頷いた。


「顔を背けてたの。でも、真っ赤な血が飛び散ったのを見た」


そのまま電車は止まってしまい、帰ることもできなくなって学校へ戻って来たようだ。


あたしは明日香の背中をさすった。


美春が死んだなんて信じられないし、本当かどうかすぐに確認したい気分だった。


けれど、青ざめている明日香をほっとくわけにもいかなかった。


「保健室、行く?」


そう聞くと、明日香は力なく頷いたのだった。
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