ストーリー
☆☆☆

美春の葬儀場でも、あたしは上の空だった。


美春が死んでしまうなんて思ってもいなかった。


あちこちから聞こえて来るすすり泣きの声も、お経も全部が夢の中の出来事のようだ。


焼香を終えて列から離れると、明日香が待っていた。


目を真っ赤にして、それでもまだ涙は次から次へと溢れだしてきている。


「明日香、大丈夫?」


「うん」


そう答えるが、とても大丈夫そうには見えない。


事故の様子を目の前で見ていたのだから、ショックは相当大きかっただろう。


「今日は学校どうする? このまま家に帰る?」


「今日はもう帰ろうかな」


鼻をすすりあげて明日香はそう言った


その方がよさそうだ。
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