ストーリー
「美春は事故だったんだよ」


そう言うと、修人は首をかしげてあたしを見た。


「本当にそう思うか? 誰もいない線路に自分から落ちたんだぞ?」


「違う! 美春は誰かに背中を押されて――!」


「誰かって誰だよ? 見てないんだろ?」


「それは……」


修人の言葉に明日香はうつむいて、黙り込んでしまった。


すぐ近くにいたのに美春を助けられなかった。


明日香は相当悔しい思いをしているハズだ。


「もし本当に背中を押されたんだとしたら、それはきっと……咲紀の幽霊だ」


冗談半分の口調でそう言った修人。


しかし、『咲紀の幽霊』という言葉を聞いた瞬間、あたしは全身に鳥肌が立っていた。


体中の体温を奪われてしまうような寒気を感じて、自分の体を抱きしめた。
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