ストーリー
☆☆☆

自室へ戻ったあたしはすぐに部屋着に着替えてベッドに寝転んだ。


目を閉じると明日香の死に顔が浮かんできて、心臓がバクバクと早鐘を打ち始める。


どうすれば明日香の呪縛から解放されるだろうか。


そう思い、スマホを手に取った。


明日香の呪縛にかかっているのはあたしだけじゃない。


あの2人も同じことだ。


《愛菜:今なにしてる?》


《修人:別に、ボーっとしてた》


すぐに来た返事にホッと息を吐きだした。


事情を知っている仲間と連絡が取れるだけで、安心できる。


《愛菜:修人、作品は?》


《修人:そんなの、書けるわけねぇだろ》


小説を一本書くには、想像以上の精神力がいる。


少しでも集中を妨げるような出来事があれば、手が止まってしまう人は多い。


修人は特にその傾向が強かった。


《愛菜:そんなんじゃコンテストに間に合わないよ》


《和人:愛菜は進んでるか?》


和人だ。


あたしは原稿用紙が入っている鞄を見つめた。


残念ながら、今日はほとんど進んでいない。
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