ストーリー
《愛菜:締め切りには間に合わせる。それより2人とも、明日香のことは誰にも言ってないよね?》


そのメッセージの返事はすぐには来なかった。


迷うような時間が流れて行く。


ほんの数分待つだけなのに、全身から嫌な汗が流れて行った。


《修人:言うわけないだろ》


《和人:俺も》


そのメッセージにあたしは息を吐きだしてスマホを置いた。


明日香のことは誰をしゃべっていない。


遺体も見つかっていない。


でも、捜索願はすでに出されている可能性がある。


そうなると、学校まで捜査の手が伸びる日も近いかもしれない。


特に、同じ文芸部だったあたしたちは明日香に近い場所にいる。


何か聞かれたりすることもあるかもしれない。


そうなったときにボロを出さないためにも、綿密な嘘を考えておいた方がいいかもしれない。


あたしはそう思い、そのまま目を閉じたのだった。
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