“自称”人並み会社員でしたが、転生したら侍女になりました
「エリー、あなた、魔法使いみたいね!」
「ええ、まあ……。その、実は石鹸作りというのは、国家錬金術師の技術だったようで」
「あら、そうなのね」
「ええ。それで、あまり、資格がない者が、大っぴらに作っていると知られるのは、よくないようで」
「わかったわ。これは、わたくし達だけの秘密なのね!」
「はい」
「大丈夫よ。わたくし、誰にも喋らないから」
「ありがとうございます」
アリアンヌお嬢様が優しい人で本当に良かった。
感激しながらも、深々と頭を下げる。
「エリーは他にも、何か作れるの?」
「はい、いろいろと」
「だったら、エリーはわたくしの専属美容師として任命するわ!」
「アリアンヌお嬢様……!」
「イヤ?」
「いいえ、光栄に思います」
アリアンヌお嬢様は、今まで見せなかった晴れ晴れとした笑みを浮かべて言った。
「ふふ。よかった。これからよろしくね、エリー」
「もちろんでございます」