“自称”人並み会社員でしたが、転生したら侍女になりました

髪型は、サイドに編み込みを入れたハーフアップの形に結った。

「エリー、私の髪の毛、荒れているでしょう？」

「……」

「正直に言っていいのよ」

「えっと、はい。少々、ですね……」

「夜会に参加するたびに、銀粉を振りかけていたから、荒れてしまったのだわ。それまで、きれいだったから」

「ぎ、銀粉、ですか？」

「ええ。銀粉を振って髪を梳くと、キラキラに輝くのよ。今、社交界で金や銀、銅の粉を頭に振りかけることが流行っているの」

「そ、そうなのですね」

確実に、悪影響を及ぼしそうな代物だ。銀粉と、銀粉を髪に定着させる薬剤とセットで販売されているらしい。

アリアンヌお嬢様からそのふたつを借りて、ソールさんから預かっている毒判定の水晶で問題ないか調べさせてもらう。