“自称”人並み会社員でしたが、転生したら侍女になりました
「エリー、それ、どうしたの?」

「国家錬金術師のソールさんからお預かりした品です。品物に毒が含まれていたら、紫色に光る仕組みとなっているそうです」

「へえ、不思議ね」

メアリーさんが持ってきた銀粉を、水晶に振りかける。アリアンヌお嬢様も興味津々の様子で覗き込んでいた。水晶は、残念ながら紫色に光る。

「まあ! これ、毒だったってこと?」

「ええ、みたいですね」

銀粉を髪の毛に定着させる薬剤も、紫色に光った。

「アリアンヌお嬢様の髪が荒れた原因は、これだったのですねえ」

メアリーさんは信じがたい、といった口ぶりで呟く。

「ちなみに、こちらはどこの商店で購入されたのですか?」

「レティーシアからもらったものなの」

「そう、でしたか」

やはり、レティーシア様はざわとアリアンヌお嬢様に体によくない美容品を贈っているのだろうか。

だとしたら、警戒しなければならない。
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