“自称”人並み会社員でしたが、転生したら侍女になりました
「神に感謝を」

食前の祈りを済ませ、いただきます。まず、茹で卵を剥く。中はもちろん、しっかり茹でてある。卵を半熟で食べるなんて、日本人くらいだろう。卵の衛生管理は、高い技術が必要なのだ。日本ですら、その昔は卵を原因とした食中毒が発生していたみたいだし。この日本ではない国で、半熟卵を食べようという勇気はとてもない。

卵は塩コショウをパッパと振って食べる。卵は栄養豊富だ。可能な限り、毎日食べたい。

ハードなパンはスープに浸して食べる。そのまま口にすると、怪我をする可能性があるのだ、それほど硬い。けれど、小麦の風味をもっとも感じることができるので、私は大好きだ。

サラダは基本、一度茹でたものが出される。これも、衛生の問題からだろう。そういう話を聞くと、いかに日本の衛生管理が優れていたのか、思い知らされる。

私の体を作っているのは、この世界の食べ物だ。二十二年間生きてきたので、食に対する不満は特にない。これが突然ここの国に連れてこられた、とかだったら、白米やお味噌汁が食べたくなるんだろうな。

本日のパンはおいしく焼きあがっていて、カボチャのポタージュも絶品だった。
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