“自称”人並み会社員でしたが、転生したら侍女になりました
離れに戻り、ミシェル様に報告した。

「──というわけで、レティーシア様はアリアンヌお嬢様の敵ではないかと」

「そうだな。」

「アリアンヌお嬢様のことを慕っているのに、なぜ王太子妃候補となったかまではわかりませんが」

「……」

そういえば、幼少期から厳しい教育を受けていると言っていたような。王太子妃候補になれるレベルであれば、相当な力の入れ具合だろう。

「貴族令嬢って、王太子妃候補になれるほどの教育をするものなのですか?」

「いいや、普通はしない。ごくごく一般的の貴族に嫁ぐだけであれば、必要ないものだろう」

アリアンヌお嬢様は優雅にお茶する暇もないほど、外国語に歴史、古文、数学に法律と、ありとあらゆる学問を叩き込んでいる。おそらく、レティーシア様も同じレベルの教養を身に付けているのだろう。

「デルフィネ様は、元伯爵夫人、でしたっけ?」

「そうだ」

伯爵である夫が亡くなった二年後に、公爵と結婚した。

レティーシア様の教育は、伯爵令嬢時代からしているものだろう。王太子妃候補になれる素養は、一朝一夕で身につくものではない。
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