“自称”人並み会社員でしたが、転生したら侍女になりました
バタバタと足音と共に、周囲にいた男性達の「うわ!」や「おお!」という驚きの声も聞こえてくる。
格子の箱が動き、上に欠けられていた黒い布が外された。
今まで暗い中にいたので、周囲の明るさが眩しく感じる。
「彼女は──アリアンヌの侍女ですわ! 夫に毒を盛り、亡きものにしようとした挙句、王太子妃候補のアリアンヌに味方し、怪しい薬を使って美しさを偽造しましたのよ!」
注目が、アリアンヌお嬢様に集まる。
「父親の再婚が面白くなかったのでしょう。だったら、手っ取り早く殺して、爵位を得たほうがずっとよかったのでしょうね」
この国は、女性にも継承権がある。公爵家のひとり娘であるアリアンヌお嬢様は、次期公爵となる予定だった。それを逆手に取られるなんて。
「伯爵家上がりの娘に王太子妃の座を取られないように、錬金術師の力を借りて美しくなろうとしていたようで」
アリアンヌお嬢様は、青い顔で立ち尽くしたまま。ミシェル様の姿は見えない。
「どちらが王太子妃にふさわしいか、一目瞭然でしょう」
参加者はあっさりと、デルフィネ様の言葉を信じてしまう。アリアンヌお嬢様に向かって、卑怯だと罵声を浴びせる者もいた。
悔しい。私が捕まったせいで、こんなことになってしまうなんて。
格子の箱が動き、上に欠けられていた黒い布が外された。
今まで暗い中にいたので、周囲の明るさが眩しく感じる。
「彼女は──アリアンヌの侍女ですわ! 夫に毒を盛り、亡きものにしようとした挙句、王太子妃候補のアリアンヌに味方し、怪しい薬を使って美しさを偽造しましたのよ!」
注目が、アリアンヌお嬢様に集まる。
「父親の再婚が面白くなかったのでしょう。だったら、手っ取り早く殺して、爵位を得たほうがずっとよかったのでしょうね」
この国は、女性にも継承権がある。公爵家のひとり娘であるアリアンヌお嬢様は、次期公爵となる予定だった。それを逆手に取られるなんて。
「伯爵家上がりの娘に王太子妃の座を取られないように、錬金術師の力を借りて美しくなろうとしていたようで」
アリアンヌお嬢様は、青い顔で立ち尽くしたまま。ミシェル様の姿は見えない。
「どちらが王太子妃にふさわしいか、一目瞭然でしょう」
参加者はあっさりと、デルフィネ様の言葉を信じてしまう。アリアンヌお嬢様に向かって、卑怯だと罵声を浴びせる者もいた。
悔しい。私が捕まったせいで、こんなことになってしまうなんて。