“自称”人並み会社員でしたが、転生したら侍女になりました
「よく、頑張った。今日でもう、終わりだ」

それは、どういう意味なのか。立ち上がろうとしたら、ふわりと体が宙に浮いた。ミシェル様が私をお姫様抱っこして持ち上げてくれたのだ。

「お前達、何をしているの? 錬金術師が檻から出ているじゃない! 危険な無差別殺人の錬金術師なのよ!」

デルフィネ様は、ヒステリックになって叫ぶ。

「社交界で暗躍する、悪女ですわ!」

「──やめて! 私のエリーは、悪い人じゃない!」

アリアンヌお嬢様が、私を庇ってくれる。デルフィネ様のもとに行って、片膝を突いて祈りを捧げるような姿勢で叫んでいた。

「お願いだから、エリーを悪く言わないで。彼女は何も悪いことはしていないわ! 嘘じゃないの。わたくしの命も、懸けられるわ!」

「アリアンヌ、あなたは、そうやっていい子の振りをして、周囲から同情されようとしているのね。あの錬金術師がいないと、美しさを保てないから、困るのかしら?」

「止めて! もう、何も言わないで!」

「黙りなさい! 黙らないと──」

デルフィネ様が手を上げる。その瞬間、声が上がった。
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