“自称”人並み会社員でしたが、転生したら侍女になりました
騎士達がやってきて、デルフィネ様は拘束される。

「きゃあ! 触らないで!」

「いいから、来るんだ!」

あっという間に、デルフィネ様は騎士に連行された。

アリアンヌお嬢様を、ルメートル公爵が抱きしめる。

「アリアンヌ、すまなかった……」

「お父様!」

小さな子どものように、アリアンヌお嬢様はわんわん泣き始める。今まで、不安だったに違いない。

「ルメートル公爵の記憶が戻ったのは、奇跡のようだった」

「ですね……」

参加者達は、アリアンヌお嬢様とルメートル公爵を温かい目で見つめている。

「あれ、なんか皆、意外と落ち着いていますね」

「参加者は全員、侯爵家の親戚と騎士団関係者だ」

「ええっ!」

「公爵夫人が何か行動を起こすならばパーティー当日だろうと、いろいろ仕込みをしていたのだ」

「そう、だったのですね」

「黙っていてすまなかった」

「いえ……」

「エリーが攫われてしまったのは想定外で、すぐにでも救出したかったのだが、母に止められて……」

「な、なるほど」

作戦の考案と指揮者はラングロワ侯爵家の大奥様だったらしい。なんというか、納得の結果だ。
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